9月になりました。そろそろ秋植えの球根、何を植えようか楽しみな季節でもあります。今回は秋植え球根の中でも良く知られているチューリップを取り上げてみたいと思います。大好きな花は長く楽しみたい、そんなときはどうしたらいいのか・・・ 試行錯誤の結果、思いついた方法ですが、自分ではうまくいったと思いました。

チューリップ(秋植え球根)
栽培場所・・・茨城県北部
気温・・・-5℃~25℃(植えつけ時10月から翌5月まで)
植え方・・・チューリップは10月中旬から11月中旬までに、石灰で中和したところに、腐葉土、牛ふんたい肥、化成肥料(窒素8-リン酸8-カリ8)を鋤き込んで植えつけます。化成肥料は、野菜などを育てる時の一般的な肥料です。庭植えは、二週間以上乾いたら水遣りをする以外は、何もしなくても大丈夫です。鉢植えは、土の表面が乾いたら水遣りをします。水遣りを忘れると、球根の中の蕾が枯れたり、背丈が伸びず小さいままで歪な花が咲きます。
チューリップ
春、一斉に花を咲かせる庭植えのチューリップ。4月22日撮影
日当たりのいい玄関前
日当たりのよい場所では早くから花が咲き始めます。4月22日撮影
通常、球根類は、日当りのいい南側の庭に植えると4月中旬には美しい花を咲かせてくれます。一つの花の咲く間は大体10日間くらいです。
チューリップの中には、3月終わりから咲くものもあり、また、遅咲きではゴールデンウィークの頃に咲くものもあります。これらの品種を組み合わせて植えると一カ月余り花を楽しむことが出来ます。

病害虫について
チューリップはアブラムシが付くことがあります。見つけ次第捕殺します。また、ウイルスによる花色の悪化があります。アブラムシが媒介するともいわれます。ウイルスに侵されると、絞りが入ったようなったり、色が汚くなったりします。ウイルスに侵されたら他の球根に伝染しないように抜き取って処分します。
チューリップとパンジー
4月19日撮影。色の濃い物、縦に筋が入っているものはウイルスにかかってしまったチューリップです。でも、大きな球根を見ると捨てられません。

花後の管理
花後は、種を付けないように、花のすぐ下から折り、お礼肥をやります。葉は黄色くなるまでそのままにしておきます。葉が黄色くなったら球根を掘りあげて乾燥させ、涼しい場所に保管します。

小さい球根の処理
掘りあげた球根には小さい球根がいくつかついています、ある程度大きいものは、秋に植えて球根を一年間太らせると、2年後から花を見ることが出来ます。さらに小さいものは、時間がかかりますので、処分するか、余裕があれば庭の隅に植えておくと良いと思います。管理は、花を咲かせるものと同じように、秋に植えつけ、翌年、葉が黄色くなるまで大切に育てます。咲くようなるのは、球根がある程度大きくなったら咲きます。咲いている球根と比べて遜色なければ、お庭デビューが出来ます。
ピンクダイヤモンド
4月28日撮影。家で栽培して2~3年経つと、花の大きさにバラツキが出てきます。植える時に球根の大きさを均一にすると、花の大きさが揃う感じがします。

実は丈夫な植物だった、チューリップ
以前は、一年草のように、毎年球根を買っていました。栽培法が良く分からず、花は咲いたけれど、掘りあげると球根が腐っていたり、掘りあげて保管しておいたものがカビてしまっていることがよくありました。最近は、水はけを良くし肥料与えて球根を太らせ、また、球根を掘りりあげる時は、晴れた乾燥している日に行うとかびるのが減ったような気がします。そうしたら、翌年もさらに翌年も咲き、球根も増えるようになりました。最初、お店で袋で売られている298円の球根を5球10球買ってきて栽培を始め、毎年、秋に庭に植える時、小さい球根も植えて育てていました。そして10年もすると、驚くほどたくさん増えました。
花も出会いだと思うと愛おしく思います。今年も良い出会いがありますよう、期待をしています。
庭のチューリップ
4月28日撮影。

植物の持つ性格を利用して開花時期をずらす方法

冷蔵庫を利用した方法
最近、通常より早く花が楽しめるよう、冷凍チューリップやユリなどが販売されるようになりました。これは、植物が、ある一定の期間寒さに当たると花芽を形成し花を咲かせるという原理に基づいて行われる手法だそうです。
家庭でも、冷蔵庫に球根を2カ月ほど入れて、冬だと勘違いさせた後、鉢植えで暖かい部屋で管理すると通常より早く花を見ることが出来るそうです。冷蔵庫に入れる時はくれぐれも衛生面に気を付けてください。私はやったことはありませんが、やった人が話していました。

冷凍や冷蔵しなくても花を早く咲かせる方法

冷蔵庫に入れなくてもちょっとしたコツでほんの少し早く咲かせたり遅く咲かせたりすることが出来ます。南側の日当りのいい庭に地植えにしたチューリップは、春になっても地温が上がりにくいので、鉢植えにして、家の壁側に置いたものより咲くのが遅くなります。鉢植えで家の南側の壁側に置いたものは、壁の熱も吸収して地温が上がり易く、庭より早く咲きます。逆に、北側などの日の当たらない場所で栽培すると、温度が一定に低いままで、芽が出た後も成長が緩やかになります。
そこで、家の周りのこの温度差を利用して、ほんのちょっと咲く時期をずらすことが出来ます。

植え方・・・鉢花用土か、石灰を混ぜて中和した赤玉6に腐葉土3完熟たい肥1化成肥料少し入れ、鉢底に水はけを良くするようごろ土か軽石を、又は、ハッポースチロールを砕いたものを網などに入れて、その上に用土10cmくらい入れます。球根を所狭しと置き、ウォータースペースを残し用土を入れます。球根を密に置くと、咲いた時にゴージャスに見えます。葉が出てから草花用緩効性化成肥料を与えます。球根を植えたら家のなるべく寒いであろう場所に置きます。水遣りを忘れないようにします。チューリップと一緒に他の草花は寄せ植えしません。
チューリップの鉢植え
だいたいこんな感じで密植します。4月14日撮影。
ピンクの鉢・・内径28cm、内側の深さ18cmに大小合わせて15球。
オレンジの鉢・・・内径36cm、内深さ21cmに大小合わせて20球植えています。オレンジは大型になるので余裕を持たせて植えましたが球根が小さかったため、迫力に欠けます。これは普通に庭の南側に置いて、暖かい中で育てました。それだけで地植えの物より10日ほど開花を早くすることが出来ます。

通常より早く咲かせたい時

10月中旬に植えたチューリップは、家の裏などに置き、なるべく寒い思いをさせます。低温にあてた後、2月中旬以降、外の日の当たる南側、北風の当たらない家の壁側に10日くらい置いたあと家の中の日の当たる窓辺に置きます。グングン成長し、通常より早く花を見ることが出来ます。花が咲いたら玄関などの涼しい場所に置くと花を長く楽しむことが出来ます。

通常より遅く咲かせたい時
家の裏に置いたまま花を咲かせます。日当りのいいところより遅く咲きます。花が咲いている間は涼しいところに置くようにすると花は通常より長持ちしまます。

花後の処理
花後、鉢に植えたままだと球根が太りにくいです。葉が黄色くなるまでそのまま育て、来年は庭植えにして球根を太らせるか、花が終わったら、鉢から土ごとそっと抜いて地植えにして肥料を施すと、鉢に植えたままより球根の太りが良くなります。葉が黄色くなったら掘りあげて日陰の風通しの良いところに保管します。掘りあげずにそのままにしておくと、高温多湿の場所では、球根は腐ります。

注意する点
この方法は、2カ月以上10度以下の寒さに当てることのできる地域に限ります。寒くならないと花が咲かないかもしれません。暖かいところで栽培したことが無いので、暖かいところでの栽培方法は分かりません。

4月28日赤の遅咲きチューリップ
4月28日撮影。
蛇足ですが、夫の転勤で八戸に住んでいた時のこと、春先、近所の庭のチューリップの根元に真っ白に石灰を撒いていました。長い間植えっぱなしだと聞きました。それでも毎年立派な花が咲くそうです。咲いた花も長持ちしていました。八戸は寒すぎて早く暖かいところに転勤にならないかと思っていましたが、そこだけはうらやましいと思いました。

まとめ
このように書きましたが、その年の気候によって暖かいと早く芽を出してしまったり、やたら寒い年は、せっかく出始めた芽に雪が積もって芽が枯れてしまうのではと心配して家の中に入れたために、上手くいかなかったり、水遣りを忘れたために花茎がよく伸びなかったりして、思い通りになりません。そこが植物を育てる面白さ楽しさでもありますが。興味のある方は、挑戦してみてはいかがでしょうか。

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植物の一年のサイクルについて「猫とネコジャラシと植物の一年のサイクル」でも少し書きました。ご覧になって下さい。

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