庭の住人アシナガバチ、危険な生物と言われているが、実は子煩悩な働き者だった。
餌探しに奔走6月の庭sony a6000 photo by Yasunosukey
コアシナガバチ、6月の庭で。

ハチ(蜂)
観察場所・・・茨城県北部
私の庭では5月ごろから女王蜂が現れ、コアシナガバチとキボシアシナガバチの二種類が繁殖のための巣をつくりを始めます。彼らは庭をくまなく飛び、幼虫を捕まえます。私のガーデニングの助っ人でもあり、友でもあります。

コアシナガバチ

体長・・・11ミリ~17ミリ
特徴・・・体は黒く赤褐色と黄色の斑紋があり、地味めな色です。コアシナガバチは、穏やかな性格で、庭にいる人を記憶し、共存する不思議な生き物です。
庭で、コアシナガバチに一度だけ刺されたことがあります。8月、蜂がいることを知らないで、枯れた千鳥草を抜こうとして力を入れたら、チクリと刺されました。子供の時に何度も蜂に刺された経験があったので、その痛みに比べると大したことはありませんでしたが、3日間は、手が腫れていました。蜂はというと、意外と頑丈な作りで潰れていなかったので良かったです。

6月、まだはたきバチが誕生していないので一匹で餌探しに奔走するアシナガバチ。
餌を探すコアシナガバチsony a6000 photo by Yasunosukey
アシナガバチの餌はチョウやガの幼虫です。幼虫を巣の子供が食べやすいように噛んで丸めて肉団子を作り運びます。
残念なことにゼラニウムの夜盗虫やバラのチュウレンバチの幼虫を食べている姿を見たことがありません。蜂にも好みがあるらしいと分かりました。
5月24日アシナガバチの巣作りCyber-shot WX70
コアシナガバチの巣は、バラの枝や家の壁などに作ります。5月は、落ち着いて子育てをできる場所を見極めるため、作り始めた巣でもアッサリ放棄して、安全な場所に作り直します。
"台風の多い年は地上近くに巣をつくる、風の少ない年は地上より離れて作る"と言われています。その言葉をヒントに蜂の巣の位置を確認し、台風発生のニュースには気を付けます。しかし、この頃の気候は、昔の人のたとえが通用しない気候になっている感じがしています。
8月8日コアナガバチの巣2Cyber-shot WX70
8月8日の巣
8月16日コアシナガバチの巣Cyber-shot WX70
8月16日の巣。みるみる大きくなりました。カメラの接写限界の40cmにレンズを近づけて撮りました。毎日庭で過ごしている者だからだからできる接写です。
枝や壁にに固定し巣は、最初円形に巣を広げた後に、弓反りに斜め上の方に巣を広げます。壁についている細い糸の様なもので巣全体を支えます。繁殖中は決して取れることはありません。巣に蜂がいなくなると、頑丈だった巣はすぐにボロボロになり壊れます。

キボシアシナガバチ
キボシアシナガバチ2sony a6000
体長・・・14ミリ~18ミリ
特徴・・・体は黒く褐色の模様がある。コアシナガバチより一回り大きく体の色も鮮やかです。
フタモンアシナガバチの巣sony a6000
巣の幼虫を育てる部屋はアシナガバチより大きく、幼虫の部屋には黄色いふたがかぶせてあるりますので、コアシナガバチと見分けがつきます。
キボシアシナガバチsony a6000
9月9日の巣の様子。10匹くらい巣にいます。
庭では、地上130cmくらいのところのバラの葉の下に巣をつくるので、葉は黒点病でやがて落ちます。すると巣の蜂は、また他の場所で巣作りを始めます。知らないでうっかり・・・ということが無いように、必ず出来た巣の場所を確認します。
キボシアシナガバチ庭を見回るsony a6000 photo by Yasunosukey
餌を探すキボシアシナガバチ。
今年は、病気にかかりにくい葉に巣をつくったので、まだまだ増え続ています。いつもバラの葉に巣をつくるので、蜂は10匹にも満たないうちに地面に落ちてしまいますが、4年前、サカキに作った時には50匹くらいに増えていましたが、スズメバチに食べられてしまいました。
コアシナガバチより少し神経質です。巣の周りを何度も行き来すると、羽を広げ威嚇のポーズを取ります。写真を撮る時は驚かさないよう、シャッター音もカシャカシャしすぎないよう気を付けています。

最大の敵はスズメバチ
庭のアシナガバチにとって一番の天敵はスズメバチです。しかしスズメバチは巣の中の幼虫しか食べません。
アシナガバチを襲うスズメバチ
コアシナガバチの巣を襲うオオスズメバチ。幼虫を一匹残らず食べつくすまで毎日巣にやって来ます。成虫はただ見ていることしかできません。

3年前のことですが、壁際に置いたバラの小枝に、巣をつくったコアシナガバチのことです。6月、まだ女王蜂一匹で子育てしていた時、母蜂が餌を探している間にスズメバチに襲われ子供は全滅してしまいました。帰ってきた母バチは持ってきた肉団子を丸めなおしては空っぽの巣の中を覗き込んでいました。翌日も肉団子を作って巣に戻り、巣を覗いては肉団子を丸めなおし、どこかに子供がいないか探す姿が見られました。3日目、巣の周りを何度も飛び巣に止まりしていましたが、4日目には姿を見なくなりました。見ていて切なかったです。小さな虫ですが、確かに命があり、子を育て、命を繋いでいると思いました。

成虫になったものは襲われた巣には戻らず、叢やツツジの根元など目に付きにくい、枝が密に茂った地面すれすれの所に小さな巣をつくり固まって冬まで暮らします。
通常は、10月ごろまでしか繁殖活動はしていないように見えます。11月終わりごろまで、巣に固まっていますが、寒くなるにつれ数が減っていきます。散り散りに巣を離れ暖かい場所で過ごす働蜂もいるようです。冬になると働蜂は死に、女王蜂は木の葉の下や土に潜って翌年の春まで冬眠します。

5月にはまた、巣をつくる場所を探して飛び回る女王蜂の姿を見ることが出来ます。

アシナガバチを襲うスズメバチ
11月22日オオスズメバチ (2)sony a6000
山茶花の蜜を吸うオオスズメバチ
夏になると低い羽音を響かせ庭にやって来るのがスズメバチです。体長が3cm以上になるオオスズメバチの羽音はよく響き、迫力があります。日のまだ出ていない5時前の薄明りの中、西に東に飛び回り忙しく働きます。働き者だなぁと、それは感心しています。
庭に来るスズメバチは、オオスズメバチ、ヒメスズメバチ、コスズメバチ、キイロスズメバチなどがいます。私の家には巣を構えたことはありませんが、どこからともなくやって来て、庭でひと暴れしていきます。
羽を休めるコスズメバチCyber-shot WX70
8月22日午前10時頃撮影。紫陽花の葉の上で羽を休めるコスズメバチ。スズメバチは、餌場と決めたところへは毎日やってきます。蜂の寿命は分かりませんが、6月から元気よく庭を飛び回り餌を採取していたコスズメバチは、8月になるとこんな風に葉の上で休む姿を見かけることが多くなり、9月になると来なくなりました。


スズメバチが近くにいる時に出してはいけない音がある

共通して言えることは、スズメバチは炸裂音に反応するということです。干した座布団を叩いていると、シソの蜜を採取していたキイロスズメバチが威嚇してきました。何度か試しましたら、その度威嚇しに来ました。コスズメバチは、きゅうりの収穫で、ハサミをパチパチさせていたら激しく威嚇しました。頭の周りをブンブン羽音を立て、すぐ後ろのガラス窓にバンバン体当たりしながらの威嚇です。白い帽子をかぶっていたので、10%は安心で、あとは、ある日スズメバチの専門家が、「じっとしているのが一番」と言っていたのを思い出し、じっとしていました。本当は、サッシを開けて家の中に逃げ込みたかったのですが、「じたばたしても刺されるときには刺される、最善の策を取るべ!」と心の中で念じていました。やがてスズメバチはきゅうりのところに戻りました。キュウリの花の蜜を採取していたのを、私が邪魔したと思ったのかもしれないと思いました。

彼らは一体庭の何に惹かれてやってくるのか
先ずは、花の密。サカキ、山茶花、シソ、キュウリなどです。それから果物の甘い汁。柿が大好物で腐って落ちた柿も食べていました。秋は、足元にも注意が必要です。意外なのがアブラムシの出す甘い汁。アシナガバチの幼虫などです。庭にこれらの物がある時は、注意が必要です。
サカキの花に集まる蜂Cyber-shot WX70
サカキの花の蜜を求めてやってきたスズメバチ

DSC03429sony a6000
シソはなは、キイロスズメバチの好物のようで、最近は花が咲く前に花穂を切るようにしています。お陰で種が出来ません。
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アブラムシは、植物の汁を吸う困った生き物です。、見つけたらすぐ退治しなければ爆発的に増えます。増えると、木全体がアブラムシの甘い汁で覆われ、蜂を呼び込むことになります。2010年は、小さなキンカンに毎日のように10匹を超すスズメバチが集まり、そこにアシナガバチも加わり、庭に出ることが出来ませんでした。
DSC07855sony a6000
柿が色づくと喜ぶのは鳥だけではありません。スズメバチも毎日やって来て、甘い実をかじります。

では、この恐ろしい生物の天敵は一体誰なんでしょう
ハチクマがスズメバチの巣を襲うのは有名です。意外ですがヒヨドリもスズメバチを襲うらしいです。その他にはオニヤンマ、カマキリなどだそうです。

スズメバチは、1匹だけだからといってつぶそうとしたりすると、彼らは匂いを出し仲間を呼ぶそうです。スズメバチの退治は専門家に依頼した方が安全だと思います。秋に向かい、増々数を増やし狂暴になってくるスズメバチ。これから、秋の紅葉、山道の散策が楽しい季節がやってきます。生体はよく知っておいて、慌てないよう安全に対処できるようにしたいと思います。

アシナガバチは、庭の同居人です
6月の庭でアシナガバチsony a6000 photo by Yasunosukey
5月、庭にアシナガバチの姿を見ると、友が戻ってきたような感じがします。無農薬であることが、彼らが安心して暮らせることだと思います。私自身が農薬に弱く、すぐに頭痛を起こしてしまうことが無農薬になっている理由ですが、それが彼らには幸いし住むことが出来るようになって、彼らがいることによって、花を食べる虫を取ってくれているという形になっています。ガーデニングの友が毎年来れる庭であり続けたいと思います。

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