今年は5月になるや否や、バラの開花をあちこちで聞きます。我が家も、少ないですがバラがわずかに残っていて、5月中旬から咲き出しました。
テスオブザダーバービルズ(イングリッシュローズ)
バラは一年を通して花を咲かせるための作業が欠かせません。特に暖かくなると施肥水遣りの他に、病気や害虫の心配をしなければなりません。バラを育て始めたころは園芸誌も少なく、試行錯誤しながら花を咲かせていました。
アブラハムダービー(イングリッシュローズ)
もっと簡単に、バラの育て方がわかるといいんだけどと思いました。それで、今回は、バラを見て、原因は何か、また、どんなケアをしたらいいのかを書きます。
バラの花8割よければすべてよし・・・の方法です。
バラは、100%無農薬です。体が弱く農薬で頭痛などの症状が顕著になったため、使うことが出来なくなりました。植物園の様な豪華で美しい葉や花姿ではありませんが、香りを嗅ぐときは顔を付けて思いっきり深呼吸できるのは極上の喜びです。
栽培場所:茨城県北部
栽培場所の気候:気温ー5℃~+34℃。冬乾燥していて2月3月にかけて少し雪が降る。夏は海からの霧で蒸し暑い。
バラの症状別診断と対処法
対策・・・鉢植えのバラは、水の管理が大切です。鉢土が乾いていたらたっぷり水遣りします。
蕾の付いた状態で水切れを起こした株。花びらが黒ずんでいます。
葉の縁が枯れこんでしまいます。
暑い夏場は、朝晩様子を見て鉢の表面が乾いていたらたっぷりと水遣りをします。春と秋は朝1回、株の様子を見ながら行います。冬場は、昼間の気温が高い時に土の表面が乾いたらたっぷりやります。真夏日差しが強く、すぐに乾くようでしたら、一日中日の当たる場所から午前中だけ日の当たる場所に移動して管理すると楽です。
2、木の生育が悪い、鉢土の表面が緑色のどろどろした物におおわれている、土が臭い・・・水はけが悪く根腐れを起こしているかもしれません。
対策・・・鉢から抜いて根をチェックします。白い根が無く黒ずんでいてすぐ切れてしまうようなら、綺麗に水で洗って腐っている根を整理して、一回り小さい鉢を用意し、水はけのよい新しい土で植えます。植えつけ後は日陰で2週間ほど管理し、その後、真夏は半日蔭に移動します。春と秋は、軒下の温度変化の少ない所で管理します。
3、葉が黄いばんで葉も少なくシュートの発生もない・・・鉢に植えたバラが根詰まり、肥料切れでを起こしています。
何年も植え替えをしていない株などに起こります。
対策・・・バラの生育中は植え替えは出来ませんが、鉢を大きくして、肥料をやれば大丈夫です。根鉢を崩さず、植えこんだ土と同じ土で植えます。肥料を鉢の三か所に入れます。置き場所は今まで通り日当りと風通しの良い所で管理します。冬になったら、根を綺麗に整理して植え替えをします。
その他、新しい幹に黒いしみの様なものが出ることがあります。夏の間の水不足や肥料不足、高温多湿などで生理障害で起こると言われています。病気ではありません。
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1、葉や蕾が白い粉をまぶしたようになっている・・・うどんこ病です。
うどんこ病になった蕾
うどんこ病は、蕾や新芽などに白い粉をまぶしたようになり、葉は委縮した感じで波打ちます。うどんこ病の出る時期は、5月と9月が多いです。うどんこ病に特に弱かったのは、ノイバラ、サマースノーで、この2種類は、毎年花までうどんこ病になるので、育てきれずに抜きました。その他にはコテージローズ、スイートマザーです。手に負える範囲のうどんこ病です。
対策・・・うどんこ病を洗い流す。砂糖小さじ1を少量のお湯で溶かし、台所洗剤小さじ1を1ℓの水に入れ混ぜた物をうどんこ病の葉の裏表まんべんなくスプレーします。その時表面を手で粉をこすり落とすようにするとなおよい気がします。
風通しを良くします。また、窒素分をたくさん与えるとうどんこ病になりやすいそうです。窒素分を控えた施肥を行います。効果は分かりませんが、ジャガイモの植え付け時に使った灰の残りなどを鉢にまいたりしています。
2、葉に黒い斑点がある・・・黒点病です。病原菌は地中に潜んでいると言われます。雨や水遣りの時にはね上げられた菌が葉について、下の方から段々広がっていきます。ほとんどのバラがかかります。アイスバーグは確実に葉を落とします。
黒点病は、年中出ます。黒い斑点が出て次第に葉が黄変し落ちます。
対策・・・株元に藁を敷いたり、抜いた草を敷き詰めたりするとかなり防ぐことが出来ます。鉢で育てている場合は、雨に当てないよう軒下で管理します。黒点病が出たら、黒点病の葉を取り除きます。
3、葉があめ色に変色する・・・べと病です。感染力が強いので庭中に広がる恐れがあります。夜と昼の温度差が大きく、露が葉に付いた時に発生しやすいと言われます。
対策・・・見つけ次第葉を取り除きます。落ちた葉も全て拾いゴミに出します。
5、木の根元にゴツゴツしたコブの様なものが出来た・・・根頭がんしゅ病です。
バラの接ぎ木部分にできやすく、発生するとバラの生育が悪くなり、シュートも出なくなります。土の中にいる菌が入り込んで起こすと言われています。
対策・・・日頃から株元に異常がないかチェックします。病気を見つけたら他の株から隔離し、病気のコブを切り落とし、用土を新しくして植えます。使ったハサミやナイフは消毒します。
切り落とした傷には木酢液を500倍に薄めた液を塗ると良いそうです。私は、3本のバラを根頭がんしゅ病にしてしまいました。買った苗の根元に大きなコブを見つけたのは植えつけてから5か月後でした。新しく買った花だったので花見たさに6月まで育てましたが、段々元気が無くなり、花柄を切ると新芽は小さく蕾をつけませんでした。病気の部位も大きくなってしまったので捨てることにしました。その後、挿し木した別の苗2本にその症状が現れ、廃棄しました。土は、熱湯消毒した後5年間炎天下に置いた後、他の植物に使いました。
6、蕾が開かないのは雨のせい・・・灰色カビ病(ポトリチス、花腐れ病)です。
蕾が開かないという理由の一つに、雨によるものがあります。例えば梅雨の時期などにはよくある症状です。特に粉粧楼などは、水滴がか蕾にかっただけで開かず茶色く変色してそのまま枯れてしまいます。粉粧楼は丈夫で周年花を咲かせますが、雨の多い時や、霧が多く発生し湿度の高い状態だと開かないことが多いです。
粉粧楼
対策・・・鉢物は雨のかからない所に移動したり、家の中に取り込むと綺麗に咲きます。汚れた蕾や咲き終わった花びらなどこまめに取り除きます。地植えのバラは、雨の多い年はこの病気になる数が多いですが、晴れれば綺麗に咲きます。
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1、アブラムシ・・・木の汁を吸い株を弱らせる。病気の媒介をする。
アブラムシの排せつ物は甘く、アリや蜂が寄ってきます。またその汁で木を汚します。
対策・・・見つけ次第手でつぶします。また、牛乳1:水5の割合で作った牛乳水を掛けるのもいい方法です。
牛乳水
手でアブラムシをつぶすと細い花茎までねじって枯らしてしまうことがあります。
牛乳水を掛けてそのままにしておき、翌日水を掛けると綺麗にアブラムシがとれます。花茎は折れずに済むので、今年は綺麗な花が沢山咲いています。
2、チュウレンバチ・・・チュウレンバチは柔らかい新芽に卵を産み付け、その卵が孵化し幼虫は葉を食べます。放っておくと1日でバラ一株丸坊主にされてしまいます。5月ごろから11月まで発生します。
チュウレンバチの成虫、産卵中。
対策・・・成虫は飛んでいるのは捕まえにくいですが、産卵中は動きませんのでその時捕まえます。刺さないので安心です。
チュウレンバチの幼虫が葉を食べていたら葉ごと切って、潰してしまいます。
チュウレンバチの捕まえ方はコチラ⇒「バラの葉を食べつくすチュウレンバチの捕まえ方」
3、バラゾウムシ(クロケシツブチョッキリ)・・・新芽や蕾に穴をあけて枯らしてしまいます。5月ごろから10月ごろまで見ます。
見つけ方は蕾などがぐったりしていたら大体この虫の仕業です。
対策・・・このような蕾を見たら、周辺をくまなく見ます。振動があると逃げてしまうのでじっと観察して、見つけたら、手のひらをバラゾウムシの下にして、もう片方の手で捕まえて潰します。万が一逃げたとしても下に広げたての中に落ちるのでそこで捕まえることが出来ます。
4、バラクキバチ・・・新芽に傷を付け産卵します。特に5月新芽が伸びるころに多く発生します。
対策・・・すぐに羽化してしまうので、ぐったりしている新芽は切り取ります。切り取った枝は放置せずすぐに袋に入れてゴミに出します。
5、オオシロオビクロハバチ・・・幼虫は葉の裏で葉を集団で食害します。5月から10月ごろまで見ます。
オオシロオビクロハバチの幼虫です。葉の裏側で葉をかじります。大きくなると葉脈だけ残して食べつくしてしまいます。
大きくなってきた姿。もう少し大きくなります。
対策・・・なるべく小さいうちに見つけて潰します。大きくなると分散してあちこちの葉を食べられてしまうので、葉の表から見た時ポツポツ白い模様が見えたら、葉の裏を見て幼虫がいないかどうか確認します。
葉のレース模様が目印
6、カミキリムシ・・・カミキリムシの成虫は新しい枝を狙って食べに来ます。産卵は根幹、幼虫はテッポウムシと呼ばれバラを枯らしてしまいます。5月から8月ごろまで活発に朝から夜8時過ぎまで活動しています。
対策・・・成虫は、捕殺します。
根元におがくずの様なものがあれば、テッポウムシがいます。針金をさして退治します。カミキリムシが活動を始める前に、株の根元に網やストッキングなどをまいて産卵されないようにします。
カミキリムシについて詳しく書いた記事はコチラ⇒「バラの天敵か切り虫を捕まえる。」
7、ホソオビアシブトクチバ・・・幼虫は葉や花をまんべんなく食べます。夏の間見ます。
昼間は葉脈に沿って気付かれないようにして、夜になると食事を始めます。花に潜り込んで食べるものも出てきます。大きくなると鉢のヘリに隠れたり、ブロックの陰に潜んだりして天敵に見つからないように身を隠します。
丸で囲んだところ。まだ小さいほうです。
対策・・・新葉を食べられていたら虫がいないか葉脈や細い木の枝の裏側などを探して捕殺します。
6、ハダニ・・・葉の色が艶がなくなり、裏側は糸がかかっている感じになります。特に暑い夏に発生しているように見えます。葉の裏にいて樹液を吸い木を弱らせます。私の家では特に鉢のバラに多く発生します。ハダニは乾燥が好きなので、鉢の水遣りが不足しているのかもしれません。
対策・・・葉裏に水を掛けると、ハダニは溺れ死にます。黄色くなった葉は緑色に回復しません。
7、イラガ・・・葉を食害します。棘には毒があり、刺されると鋭い痛みがあります。手で直接触れないように気をつけます。発生は年に2回6月と9月。
対策・・・小さいうちは一か所に30匹くらいでまとまって食事をしています。一か所にまとまっているうちに葉ごと切り取って袋に入れてゴミに出します。消毒などで毒針が散乱すると後で痛い思いをすることがあります。冬、丸いカプセルの様なものを見つけたらイラガのさなぎです。ナイフなどで削り落としゴミに出します。
イラガについて詳しく書いた記事はコチラ⇒「庭の小さくて強大な怪獣イラガを安全に退治する方法」
8、ハスモンヨトウ・・・蕾に頭を突っ込んで丸かじり。成虫は葉の裏に産卵します。小さいうちは葉の裏にいて大きくなると昼間地中に隠れ夜に這い出してきて、蕾や新芽を食べてしまいます。発生は特に4月から11月。
対策・・・葉の裏で食事をしている小さい幼虫は見つけ次第捕殺します。大きくなったものは、完全に暗くなる夜8時過ぎが確実に捕まえられる時間です。
9、ルリマルノミハムシ・・・ひとつの花に5匹~6匹で群がって花びらや雄蕊などを食べます。2~3日もすると花びらは食べつくされてしまいます。5月から9月ごろまで、特に2番花はたくさんたかられます。
対策・・・かなり俊敏な虫です。透明な大きな袋を用意して花ごとかぶせて口を絞り、枝を揺するとビックリして花から飛び出します。捕まえたら潰してしまいます。
10、コガネムシ・・・成虫は植物の葉を食べます。地中に産卵し、幼虫は植物の根を食べます。
私の庭では、鉢植えのバラとゼラニウムに被害がでます。
昼間は青い葉っぱに紛れて見つけにくいです。夜は蛍光灯の光に誘われて網戸にぶつかります。朝早くから活動します。天敵はヒヨドリやカラスなどです。
対策・・・コガネムシ類は硬い羽をもっていて動きが遅いように見えますが実はすばしっこいです。袋を持ち歩き袋で覆って取るとか、地面に落ちたものは足でつぶします。鉢植えのバラは鉢の土を網で覆い、産卵させないようにします。
産卵されてしまった場合
症状・幼虫が鉢の中でバラの根を食べていることがあります。バラは元気が無くなり、水を与えてもしおれたように元気がありません。土の表面がムクムク動きます。株はグラグラしてすぐに抜けてしまいます。
対策・バラは抜いて一回り小さい鉢に新しい土で植えます。古い土は、幼虫を出して潰したら、熱湯を掛け卵まで殲滅します。
同じように見えるハナムグリ、実はコガネムシが害虫に分類されますが、ハナムグリは益虫に分類されます。花粉を運び受粉を助けるからです。幼虫は朽ちた葉などを食べて成長します。
花の中へ入り込もうとするハナムグリ
今まで知らなくて害虫扱いをしていましたが、庭でハナムグリを見たら「ご苦労様」と声をかけなければですね。
11、アザミウマ・・・花が開きかけると中に潜り込み汁を吸います。花は茶色い斑点が出来汚れいびつになり咲かないのも出てきます。
対策・・・食べられた花や蕾は切り取り袋に入れて処分します。
12、カイガラムシ・・・直径1mm~2mm位の白いものが密集して幹について汁を吸い、木を弱らせます。
対策・・・見つけ次第歯ブラシなどでこすり落とします。冬の鉢替え剪定の時木の枝をくまなく観察し、全て落とします。時々支柱と麻ひもの間に隠れていることがあります。弱っている木は特にカイガラムシが付きやすいように思います。株づくりに専念します。
13、ハキリバチ・・・葉を丸く切り取って巣に運び卵を産んで育てる蜂です。
ミツバチの働きバチに似ています。大きさは13mmくらい、ミツバチより黒っぽい体をしています。花粉や花の蜜を幼虫に与えます。5月ごろ葉を切り取られているのを見ます。
対策はありません。ちょっとみっともないけど、私はそのままにしています。
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ヒラタアブの幼虫と、テントウムシの成虫幼虫ともアブラムシを退治します。
ヒラタアブ成虫。アブラムシのいる場所に卵を産みます。いないとどこかへ行ってしまいます。
ヒラタアブの幼虫。鱗を纏っているような虫です。
花の上にいる小さいクモは小さい虫を捕らえます。
カマキリの幼齢虫はアブラムシを、大きくなるといろんな虫を捕らえます。
ハラビロカマキリ
ヒヨドリやカラスは、コガネムシやカミキリムシを、シジュウカラは青虫やくもなどを、エナガは尺取虫を捕食します。今朝はスズメが空中で蛾をキャッチしているのを見ました。彼らの働きもまた見逃せません。
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ブライダルピンク春の花
ピエールドゥロンサール、メアリーローズ、アブラハムダービーなど、アブラムシがつきにくいものもあります。このように病害虫に強いという肩書はだてではありません。
ピエールドゥロンサール
最近作出された新しい品種の中には、今まで想像もしていなかったような丈夫で花を沢山咲かせてくれるものがあるそうです。病害虫対策は今でも試行錯誤中です。もっと楽に手を抜いて綺麗な花がたくさん咲くことを目指しています。
私の長年繰り返し読むバラの本は、バラの巨匠、鈴木省三氏の「バラの育て方」1998年発行の本です。とても信頼のおける本です。花持ちの良さ、病害虫に耐性があるかどうかなどが書かれています。
最近では、「はじめてのバラ作り」(財団法人 日本バラ会著)と、「美しく病気に強いバラ」(NHK出版趣味の園芸 河合伸志監修)を買いました。最新のバラ情報が満載で、そのバラについて、病害虫に強いか、樹勢はどうかなどということを詳しくプロの視点で書かれています。苗を買う時にはとても参考になります。
梶みゆき著の「バラの園を夢見て part2」には、木酢液や生姜、ニンニク、自然の生薬を使ったバラ作りについて詳しく書かれています。
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テスオブザダーバービルズ(イングリッシュローズ)
バラは一年を通して花を咲かせるための作業が欠かせません。特に暖かくなると施肥水遣りの他に、病気や害虫の心配をしなければなりません。バラを育て始めたころは園芸誌も少なく、試行錯誤しながら花を咲かせていました。
アブラハムダービー(イングリッシュローズ)
もっと簡単に、バラの育て方がわかるといいんだけどと思いました。それで、今回は、バラを見て、原因は何か、また、どんなケアをしたらいいのかを書きます。
バラの花8割よければすべてよし・・・の方法です。
バラは、100%無農薬です。体が弱く農薬で頭痛などの症状が顕著になったため、使うことが出来なくなりました。植物園の様な豪華で美しい葉や花姿ではありませんが、香りを嗅ぐときは顔を付けて思いっきり深呼吸できるのは極上の喜びです。
栽培場所:茨城県北部
栽培場所の気候:気温ー5℃~+34℃。冬乾燥していて2月3月にかけて少し雪が降る。夏は海からの霧で蒸し暑い。
バラの症状別診断と対処法
木の様子
1、蕾や葉がしおれている。鉢土もかわいている・・・水切れです。対策・・・鉢植えのバラは、水の管理が大切です。鉢土が乾いていたらたっぷり水遣りします。
蕾の付いた状態で水切れを起こした株。花びらが黒ずんでいます。
葉の縁が枯れこんでしまいます。
暑い夏場は、朝晩様子を見て鉢の表面が乾いていたらたっぷりと水遣りをします。春と秋は朝1回、株の様子を見ながら行います。冬場は、昼間の気温が高い時に土の表面が乾いたらたっぷりやります。真夏日差しが強く、すぐに乾くようでしたら、一日中日の当たる場所から午前中だけ日の当たる場所に移動して管理すると楽です。
2、木の生育が悪い、鉢土の表面が緑色のどろどろした物におおわれている、土が臭い・・・水はけが悪く根腐れを起こしているかもしれません。
対策・・・鉢から抜いて根をチェックします。白い根が無く黒ずんでいてすぐ切れてしまうようなら、綺麗に水で洗って腐っている根を整理して、一回り小さい鉢を用意し、水はけのよい新しい土で植えます。植えつけ後は日陰で2週間ほど管理し、その後、真夏は半日蔭に移動します。春と秋は、軒下の温度変化の少ない所で管理します。
3、葉が黄いばんで葉も少なくシュートの発生もない・・・鉢に植えたバラが根詰まり、肥料切れでを起こしています。
何年も植え替えをしていない株などに起こります。
対策・・・バラの生育中は植え替えは出来ませんが、鉢を大きくして、肥料をやれば大丈夫です。根鉢を崩さず、植えこんだ土と同じ土で植えます。肥料を鉢の三か所に入れます。置き場所は今まで通り日当りと風通しの良い所で管理します。冬になったら、根を綺麗に整理して植え替えをします。
その他、新しい幹に黒いしみの様なものが出ることがあります。夏の間の水不足や肥料不足、高温多湿などで生理障害で起こると言われています。病気ではありません。
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病気
バラの主な病気は、うどんこ病、黒点病、べと病、根頭がんしゅ病などです。これらを防げれば美しいバラの園になること間違いなしです。1、葉や蕾が白い粉をまぶしたようになっている・・・うどんこ病です。
うどんこ病になった蕾
うどんこ病は、蕾や新芽などに白い粉をまぶしたようになり、葉は委縮した感じで波打ちます。うどんこ病の出る時期は、5月と9月が多いです。うどんこ病に特に弱かったのは、ノイバラ、サマースノーで、この2種類は、毎年花までうどんこ病になるので、育てきれずに抜きました。その他にはコテージローズ、スイートマザーです。手に負える範囲のうどんこ病です。
対策・・・うどんこ病を洗い流す。砂糖小さじ1を少量のお湯で溶かし、台所洗剤小さじ1を1ℓの水に入れ混ぜた物をうどんこ病の葉の裏表まんべんなくスプレーします。その時表面を手で粉をこすり落とすようにするとなおよい気がします。
風通しを良くします。また、窒素分をたくさん与えるとうどんこ病になりやすいそうです。窒素分を控えた施肥を行います。効果は分かりませんが、ジャガイモの植え付け時に使った灰の残りなどを鉢にまいたりしています。
2、葉に黒い斑点がある・・・黒点病です。病原菌は地中に潜んでいると言われます。雨や水遣りの時にはね上げられた菌が葉について、下の方から段々広がっていきます。ほとんどのバラがかかります。アイスバーグは確実に葉を落とします。
黒点病は、年中出ます。黒い斑点が出て次第に葉が黄変し落ちます。
対策・・・株元に藁を敷いたり、抜いた草を敷き詰めたりするとかなり防ぐことが出来ます。鉢で育てている場合は、雨に当てないよう軒下で管理します。黒点病が出たら、黒点病の葉を取り除きます。
3、葉があめ色に変色する・・・べと病です。感染力が強いので庭中に広がる恐れがあります。夜と昼の温度差が大きく、露が葉に付いた時に発生しやすいと言われます。
対策・・・見つけ次第葉を取り除きます。落ちた葉も全て拾いゴミに出します。
5、木の根元にゴツゴツしたコブの様なものが出来た・・・根頭がんしゅ病です。
バラの接ぎ木部分にできやすく、発生するとバラの生育が悪くなり、シュートも出なくなります。土の中にいる菌が入り込んで起こすと言われています。
対策・・・日頃から株元に異常がないかチェックします。病気を見つけたら他の株から隔離し、病気のコブを切り落とし、用土を新しくして植えます。使ったハサミやナイフは消毒します。
切り落とした傷には木酢液を500倍に薄めた液を塗ると良いそうです。私は、3本のバラを根頭がんしゅ病にしてしまいました。買った苗の根元に大きなコブを見つけたのは植えつけてから5か月後でした。新しく買った花だったので花見たさに6月まで育てましたが、段々元気が無くなり、花柄を切ると新芽は小さく蕾をつけませんでした。病気の部位も大きくなってしまったので捨てることにしました。その後、挿し木した別の苗2本にその症状が現れ、廃棄しました。土は、熱湯消毒した後5年間炎天下に置いた後、他の植物に使いました。
6、蕾が開かないのは雨のせい・・・灰色カビ病(ポトリチス、花腐れ病)です。
蕾が開かないという理由の一つに、雨によるものがあります。例えば梅雨の時期などにはよくある症状です。特に粉粧楼などは、水滴がか蕾にかっただけで開かず茶色く変色してそのまま枯れてしまいます。粉粧楼は丈夫で周年花を咲かせますが、雨の多い時や、霧が多く発生し湿度の高い状態だと開かないことが多いです。
粉粧楼
対策・・・鉢物は雨のかからない所に移動したり、家の中に取り込むと綺麗に咲きます。汚れた蕾や咲き終わった花びらなどこまめに取り除きます。地植えのバラは、雨の多い年はこの病気になる数が多いですが、晴れれば綺麗に咲きます。
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害虫
害虫は最も被害が多く出ます。上記した病気根腐れなどが無い場合、虫の仕業だと考えられます。1、アブラムシ・・・木の汁を吸い株を弱らせる。病気の媒介をする。
アブラムシの排せつ物は甘く、アリや蜂が寄ってきます。またその汁で木を汚します。
対策・・・見つけ次第手でつぶします。また、牛乳1:水5の割合で作った牛乳水を掛けるのもいい方法です。
牛乳水
手でアブラムシをつぶすと細い花茎までねじって枯らしてしまうことがあります。
牛乳水を掛けてそのままにしておき、翌日水を掛けると綺麗にアブラムシがとれます。花茎は折れずに済むので、今年は綺麗な花が沢山咲いています。
2、チュウレンバチ・・・チュウレンバチは柔らかい新芽に卵を産み付け、その卵が孵化し幼虫は葉を食べます。放っておくと1日でバラ一株丸坊主にされてしまいます。5月ごろから11月まで発生します。
チュウレンバチの成虫、産卵中。
対策・・・成虫は飛んでいるのは捕まえにくいですが、産卵中は動きませんのでその時捕まえます。刺さないので安心です。
チュウレンバチの幼虫が葉を食べていたら葉ごと切って、潰してしまいます。
チュウレンバチの捕まえ方はコチラ⇒「バラの葉を食べつくすチュウレンバチの捕まえ方」
3、バラゾウムシ(クロケシツブチョッキリ)・・・新芽や蕾に穴をあけて枯らしてしまいます。5月ごろから10月ごろまで見ます。
見つけ方は蕾などがぐったりしていたら大体この虫の仕業です。
対策・・・このような蕾を見たら、周辺をくまなく見ます。振動があると逃げてしまうのでじっと観察して、見つけたら、手のひらをバラゾウムシの下にして、もう片方の手で捕まえて潰します。万が一逃げたとしても下に広げたての中に落ちるのでそこで捕まえることが出来ます。
4、バラクキバチ・・・新芽に傷を付け産卵します。特に5月新芽が伸びるころに多く発生します。
対策・・・すぐに羽化してしまうので、ぐったりしている新芽は切り取ります。切り取った枝は放置せずすぐに袋に入れてゴミに出します。
5、オオシロオビクロハバチ・・・幼虫は葉の裏で葉を集団で食害します。5月から10月ごろまで見ます。
オオシロオビクロハバチの幼虫です。葉の裏側で葉をかじります。大きくなると葉脈だけ残して食べつくしてしまいます。
大きくなってきた姿。もう少し大きくなります。
対策・・・なるべく小さいうちに見つけて潰します。大きくなると分散してあちこちの葉を食べられてしまうので、葉の表から見た時ポツポツ白い模様が見えたら、葉の裏を見て幼虫がいないかどうか確認します。
葉のレース模様が目印
6、カミキリムシ・・・カミキリムシの成虫は新しい枝を狙って食べに来ます。産卵は根幹、幼虫はテッポウムシと呼ばれバラを枯らしてしまいます。5月から8月ごろまで活発に朝から夜8時過ぎまで活動しています。
対策・・・成虫は、捕殺します。
根元におがくずの様なものがあれば、テッポウムシがいます。針金をさして退治します。カミキリムシが活動を始める前に、株の根元に網やストッキングなどをまいて産卵されないようにします。
カミキリムシについて詳しく書いた記事はコチラ⇒「バラの天敵か切り虫を捕まえる。」
7、ホソオビアシブトクチバ・・・幼虫は葉や花をまんべんなく食べます。夏の間見ます。
昼間は葉脈に沿って気付かれないようにして、夜になると食事を始めます。花に潜り込んで食べるものも出てきます。大きくなると鉢のヘリに隠れたり、ブロックの陰に潜んだりして天敵に見つからないように身を隠します。
丸で囲んだところ。まだ小さいほうです。
対策・・・新葉を食べられていたら虫がいないか葉脈や細い木の枝の裏側などを探して捕殺します。
6、ハダニ・・・葉の色が艶がなくなり、裏側は糸がかかっている感じになります。特に暑い夏に発生しているように見えます。葉の裏にいて樹液を吸い木を弱らせます。私の家では特に鉢のバラに多く発生します。ハダニは乾燥が好きなので、鉢の水遣りが不足しているのかもしれません。
対策・・・葉裏に水を掛けると、ハダニは溺れ死にます。黄色くなった葉は緑色に回復しません。
7、イラガ・・・葉を食害します。棘には毒があり、刺されると鋭い痛みがあります。手で直接触れないように気をつけます。発生は年に2回6月と9月。
対策・・・小さいうちは一か所に30匹くらいでまとまって食事をしています。一か所にまとまっているうちに葉ごと切り取って袋に入れてゴミに出します。消毒などで毒針が散乱すると後で痛い思いをすることがあります。冬、丸いカプセルの様なものを見つけたらイラガのさなぎです。ナイフなどで削り落としゴミに出します。
イラガについて詳しく書いた記事はコチラ⇒「庭の小さくて強大な怪獣イラガを安全に退治する方法」
8、ハスモンヨトウ・・・蕾に頭を突っ込んで丸かじり。成虫は葉の裏に産卵します。小さいうちは葉の裏にいて大きくなると昼間地中に隠れ夜に這い出してきて、蕾や新芽を食べてしまいます。発生は特に4月から11月。
対策・・・葉の裏で食事をしている小さい幼虫は見つけ次第捕殺します。大きくなったものは、完全に暗くなる夜8時過ぎが確実に捕まえられる時間です。
9、ルリマルノミハムシ・・・ひとつの花に5匹~6匹で群がって花びらや雄蕊などを食べます。2~3日もすると花びらは食べつくされてしまいます。5月から9月ごろまで、特に2番花はたくさんたかられます。
対策・・・かなり俊敏な虫です。透明な大きな袋を用意して花ごとかぶせて口を絞り、枝を揺するとビックリして花から飛び出します。捕まえたら潰してしまいます。
10、コガネムシ・・・成虫は植物の葉を食べます。地中に産卵し、幼虫は植物の根を食べます。
私の庭では、鉢植えのバラとゼラニウムに被害がでます。
昼間は青い葉っぱに紛れて見つけにくいです。夜は蛍光灯の光に誘われて網戸にぶつかります。朝早くから活動します。天敵はヒヨドリやカラスなどです。
対策・・・コガネムシ類は硬い羽をもっていて動きが遅いように見えますが実はすばしっこいです。袋を持ち歩き袋で覆って取るとか、地面に落ちたものは足でつぶします。鉢植えのバラは鉢の土を網で覆い、産卵させないようにします。
産卵されてしまった場合
症状・幼虫が鉢の中でバラの根を食べていることがあります。バラは元気が無くなり、水を与えてもしおれたように元気がありません。土の表面がムクムク動きます。株はグラグラしてすぐに抜けてしまいます。
対策・バラは抜いて一回り小さい鉢に新しい土で植えます。古い土は、幼虫を出して潰したら、熱湯を掛け卵まで殲滅します。
同じように見えるハナムグリ、実はコガネムシが害虫に分類されますが、ハナムグリは益虫に分類されます。花粉を運び受粉を助けるからです。幼虫は朽ちた葉などを食べて成長します。
花の中へ入り込もうとするハナムグリ
今まで知らなくて害虫扱いをしていましたが、庭でハナムグリを見たら「ご苦労様」と声をかけなければですね。
11、アザミウマ・・・花が開きかけると中に潜り込み汁を吸います。花は茶色い斑点が出来汚れいびつになり咲かないのも出てきます。
対策・・・食べられた花や蕾は切り取り袋に入れて処分します。
12、カイガラムシ・・・直径1mm~2mm位の白いものが密集して幹について汁を吸い、木を弱らせます。
対策・・・見つけ次第歯ブラシなどでこすり落とします。冬の鉢替え剪定の時木の枝をくまなく観察し、全て落とします。時々支柱と麻ひもの間に隠れていることがあります。弱っている木は特にカイガラムシが付きやすいように思います。株づくりに専念します。
13、ハキリバチ・・・葉を丸く切り取って巣に運び卵を産んで育てる蜂です。
ミツバチの働きバチに似ています。大きさは13mmくらい、ミツバチより黒っぽい体をしています。花粉や花の蜜を幼虫に与えます。5月ごろ葉を切り取られているのを見ます。
対策はありません。ちょっとみっともないけど、私はそのままにしています。
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正義の味方
害虫がいれば、それを食べる天敵がいます。ヒラタアブの幼虫と、テントウムシの成虫幼虫ともアブラムシを退治します。
ヒラタアブ成虫。アブラムシのいる場所に卵を産みます。いないとどこかへ行ってしまいます。
ヒラタアブの幼虫。鱗を纏っているような虫です。
花の上にいる小さいクモは小さい虫を捕らえます。
カマキリの幼齢虫はアブラムシを、大きくなるといろんな虫を捕らえます。
ハラビロカマキリ
ヒヨドリやカラスは、コガネムシやカミキリムシを、シジュウカラは青虫やくもなどを、エナガは尺取虫を捕食します。今朝はスズメが空中で蛾をキャッチしているのを見ました。彼らの働きもまた見逃せません。
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まとめ
庭で直面する主な病害虫、バラの諸症状について書きました。病害虫に強い品種を選んで植えると手入れは楽になります。樹勢の強いものは虫に食べられたくらいではへこたれずすぐに新芽を発生させます。同じ庭にあって、カクテルとラベンダードリーム、コテージローズ、ブライダルピンクはアブラムシがよくつきますが、ブライダルピンク春の花
ピエールドゥロンサール、メアリーローズ、アブラハムダービーなど、アブラムシがつきにくいものもあります。このように病害虫に強いという肩書はだてではありません。
ピエールドゥロンサール
最近作出された新しい品種の中には、今まで想像もしていなかったような丈夫で花を沢山咲かせてくれるものがあるそうです。病害虫対策は今でも試行錯誤中です。もっと楽に手を抜いて綺麗な花がたくさん咲くことを目指しています。
私の長年繰り返し読むバラの本は、バラの巨匠、鈴木省三氏の「バラの育て方」1998年発行の本です。とても信頼のおける本です。花持ちの良さ、病害虫に耐性があるかどうかなどが書かれています。
最近では、「はじめてのバラ作り」(財団法人 日本バラ会著)と、「美しく病気に強いバラ」(NHK出版趣味の園芸 河合伸志監修)を買いました。最新のバラ情報が満載で、そのバラについて、病害虫に強いか、樹勢はどうかなどということを詳しくプロの視点で書かれています。苗を買う時にはとても参考になります。
梶みゆき著の「バラの園を夢見て part2」には、木酢液や生姜、ニンニク、自然の生薬を使ったバラ作りについて詳しく書かれています。